派遣労働者は「労働者」なの?

本当に派遣労働者というのは「労働者」という名前は付いているけれども、現在の日本にある法律や判例の「労働者」にはなれていないような気がするのは気のせいでしょうか。

非正社員はどれだけ法律で守られているのか―これだけは知っておきたい《特集・雇用壊滅》(東洋経済オンライン)

 有期雇用契約で期間満了を理由に打ち切ることを「雇い止め」と呼んでいます。有期雇用については、契約期間が満了すれば雇用関係も終了するのが原則です。

 ただし、更新を何度も繰り返し、長期間にわたって同じ会社で働いている場合、労働者は「次も更新があるはず」という期待を持ちます。このように、契約の反復更新などによって労働者側に更新への期待が生じている場合「解雇権濫用法理」が類推適用され、期間満了だけを理由とする雇い止めは許されない場合があるというのが最高裁判所判例です。

 解雇権濫用法理は、判例の積み上げによって確立されたもので、現在では労働契約法16条で明文化されています。同条では「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は解雇が認められないとしています。


ということを踏まえて↓記事を読むと訳がわからなくなります。

《検証・民主党》雇用――野党共闘も今は昔? 難産続く派遣法改正案'(東洋経済オンライン)

3月、最高裁判所は13年間銀行業務に従事していた女性がパワハラに反発して雇い止めに遭った事件で、登録型派遣で働く労働者は反復更新され長期間働いていても、解雇権濫用法理の類推適用はないとする決定を出した。「裁判所は派遣切りにお墨付きを与えた。もはや立法での解決しかない」(労働問題に詳しい弁護士)。


下の記事の14ページ目がこの違いを語っていますが・・・
労働者派遣法制が抱える諸問題と改善の方向(PDF)/大阪経済大学
法律に過去の判例の積み重ねに基づいて条文として明文化したのはいいけれども、結局は当事者の裁判によって変わるということですか。これでは法律に守られているとは言えないでしょう。
こうして見ると法律にに守りたくても守られていないのが「派遣労働者」という雇用形態です。

労働基準法が適用される労働者とは、

1.職業の種類を問わず
2.事業または事業所に使用されている者
3.賃金を支払われる者

をいいます。
そしてその判断基準としては、

1.労務提供の形態が指揮命令監督下の労働である
2.報酬が「労務の対償」として支払われている

ことです。
それが適用されないとなれば、派遣の方々は今まで事業所で働いていなかったのか?賃金と思って支払われていたお金はなんだったのでしょうかね?

まずはきちんと「派遣労働者=労働者」になるように法律をわかりやすく改定してほしいものです。